Topic 2 // 共用装置群をつなぐ
最先端装置の提供からデータ創出まで、重要性を増す装置共用事業の役割
“これさえあれば”を叶えるNIMSの共用装置群
NIMSは全国の研究者・技術者の研究開発をサポートする装置共用事業を展開している。汎用的な装置からNIMSにしかない最先端装置まで、約250台の装置を提供する。金属やガラスの加工、溶接などの材料創製装置から、微細加工装置、電子顕微鏡やNMRなどの解析装置まで、ラインナップは幅広い。NIMSは、これら装置のNIMS研究者による利用を支援する一方で、外部ユーザーの共用装置利用を2つの窓口から受け付けている。得られた成果を非公開とする「NIMS Open Facility」と、成果公開型の「NIMS-ARIM」だ。いずれも、ユーザーは利用形態を選択でき、様々なニーズに対応可能だ。
また、装置共用事業では外部の研究者・技術者を対象に、共用装置を使った実習などのユーザースクールやワークショップを開催。次世代技術者の育成と最先端装置の利用促進の役割も果たしている。
[共用装置利用を受け付けている2つの窓口]
[利用形態]
- 機器利用…ユーザー自らが機器を操作、解析する。(利用者は事前に機器操作のトレーニングを受け、ライセンスを取得する必要あり)
- 技術指導…NIMSスタッフの補助のもと、ユーザー自らが機器を操作する。
- 技術代行…NIMSスタッフがユーザーの代わりに機器を操作、解析する。
データを“つくる”という新たなミッション
充実の共用装置群、その多くは政府の大型設備整備事業や文科省委託事業「ナノテクノロジープラットフォーム」(2012~2021年実施)などで整備されたものだ。単独の研究室では保有が難しい最先端のナノテクノロジー装置や大型設備を中心に、NIMSは幅広い研究コミュニティに対して共用装置利用を推進してきた。
2021年、これを土台として始動したのが、文科省委託事業「マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)」だ。狙いは、我が国が整備した高性能な装置群やエンジニアの高い技術力を基盤に、「データ駆動型」の材料開発の糧となる高品質なデータを“つくる”こと。NIMSはARIMに参画する全国25機関の「センターハブ機関」として、参画機関の共用装置群で創出されたデータをNIMSが構築する材料データプラットフォーム「DICE」に収集・蓄積する。また、「NIMS Open Facility」とは別に、NIMSの共用装置を提供するARIM専用の窓口「NIMS-ARIM」を開設。ユーザーは、データの提供と成果を公開する代わりに、「NIMS Open Facility」よりも手ごろな料金で装置を利用できる仕組みだ。
共用装置群の運用は、第4期から引き続き「技術開発・共用部門」が担う。一方で、NIMSは第4期に「統合型材料開発・情報基盤部門(MaDIS)」を立ち上げ、材料データプラットフォームを構築してきた。マテリアルDXプラットフォーム構想が打ち出され、データを扱う現場の連携強化が望まれる今、NIMSは第5期開始に合わせて「技術開発・共用部門」を再編。MaDISを牽引してきた出村雅彦を部門長に、三位一体の事業に関わるエンジニアを結集し、データ戦略を成功へと導く体制を整えた。中核機能の強化へ――NIMSはしなやかに呼応する。

