Vol.24 No.2
高温高圧実験用のダイヤモンドアンビルCover Story

ダイヤモンドの圧子(アンビル)を対向させて試料を挟み、両側から荷重をかける。すると、地球深部にも迫る超高圧を発生させることができる。レーザー光やX線を透過するため、超高圧下での加熱や結晶構造解析、特性評価が可能だ。表紙写真のアンビルにおいて特筆すべきは、下側のアンビルの先端付近に、電気抵抗測定用の電極がパターニングされている点だ。松本凌は、ダイヤモンドアンビルの先端に、ホウ素を高濃度に添加したダイヤモンドの回路を形成する技術を確立。超伝導材料をはじめとした物質探索に活用している。ちなみに、この黄みがかったダイヤモンドは、共同研究者の愛媛大学・入舩徹男教授から提供を受けた“世界一硬い物質”「ヒメダイヤ」だ。通常のダイヤモンドよりも高い圧力の印加に耐える。
(写真・塚田直寛)

回路を形成したダイヤモンドアンビルを上から見たところ。① 電気抵抗測定用の電極をパターニングした「ヒメダイヤ」(上に解説)。② ブリリアントカットが施されたダイヤモンドは単結晶(③④も同様)。電極のほか、加熱用のヒーターと温度計をパターニングしている(P.10に模式図)。先端平面の直径はわずか0.3mmで、約100万気圧の印加が可能。③ 紫色のダイヤモンドは、量子センサへの応用が期待されている「NVセンタ」を含有している。東京工業大学の荒井慧悟准教授と進めている超高圧下での量子センシングに向け、ホウ素濃度や形状を変えたダイヤモンド電極を形成した試作段階のもの。④ 平面型のダイヤモンドは、形成した電極により初めて電気抵抗測定に成功した初期型。その後、①② の円錐型への回路形成に成功した。
(写真・塚田直寛)