Project leader

三石 和貴
Kazutaka Mitsuishi

究極の解像度でモノを観る!
原子レベル構造解析

物質表面・界面の超微細構造や結晶の配向、電子状態やスピン状態といった、先端材料の機能の源となる要素――NIMSではそれらをかつてない鮮明さで描き出すべく、計測装置本体や解析ツールなどに改良を施し、分解能の限界を押し上げてきた。空間・時間・エネルギー・波長などさまざまな指標において世界最高レベルの解析技術を誇る。一方、磁性・量子材料をはじめとした先端材料の進化は新たな解析のニーズを次々と生んでいる。本プロジェクトでは、既存技術を組み合わせたマルチスケール解析やデータ科学を取り入れたハイスループット構造解析など、積極的に技術の融合を図り、時代の要請に応えていく。

超分子中に含まれる超微量な金属原子のマッピング(TEM像)
提供:吉川 純

材料の “リアル”を引き出す
オペランド解析と計測インフォマティクス

カーボンニュートラルをはじめとする喫緊の社会課題を前に、材料が実際に動作するさまを観察する「オペランド解析」のニーズが高まっている。百聞は一見にしかず、材料の特性向上のカギは実働環境下でこそ色濃く浮かび上がるからだ。本プロジェクトでは、これまで実現してきたガス雰囲気、液中、そして加熱時や電圧印加時における解析に加え、新たな技術開発によって扱える材料・条件の幅の拡大を狙う。例えば、超高輝度放射光施設「NanoTerasu」のもとでは、百ナノ秒を切る空間分解能と数十ピコ秒の時間分解能を両立する軟X線顕微鏡や、マルチモーダルオペランド顕微分光装置の開発を目指す。他方、膨大な計測データの解析には、データ科学によって情報を引き出す「計測インフォマティクス」が威力を発揮する。計測の専門家とデータを扱う専門家が1つの傘下に集った今、情報抽出の精度にも磨きをかけていく。

試料延伸時の構造観察により捉えたマルテンサイト変態のダイナミクス(TEM像)
提供:新津甲大

Project leader

袖山 慶太郎
Keitaro Sodeyama

駆動力を高める良質な“燃料”を!
データ創出の基盤をつくる

データ駆動型の材料開発では、データの質や充実度が成否を分ける。マテリアル基盤研究センターはNIMSが誇る各種材料データベースの拡充を目指し、データ創出手法のアップデートを進めている。主な手法として、学術論文からの情報抽出、自動自律実験によるデータ取得、大規模計算によるデータ生成が挙げられる。本プロジェクトではそれらをさらに深化させる。計測データから物性に関与する特徴量を抽出する手法に加え、大規模第一原理計算の実行からデータ蓄積まで自動化するスキームを開発中だ。さらに、データの意味をAIに理解させるための“辞書”づくりや異分野データベースとの連携など、既存データの価値向上にも貢献している。データの力で材料開発をより強力に駆動するために、信頼性の高いデータという“燃料”をNIMSは投じ続けていく。

ソフトウェア「TurboRVB」では原子に働く力や固体の格子振動を高精度に計算可能
→関連記事

“普段使い”の手法を目指して
データ活用の基盤をつくる

材料開発の現場で本領を発揮しつつあるデータ駆動型の探索手法。その適用範囲を広げ、真に使える材料の発見例を積み上げていくためには、材料それぞれの事情や探索目的に即した方法論の確立が不可欠だ。本プロジェクトでは、無機材料の設計最適化を目的とした機械学習モデルの構築や、自動自律実験を制御するシステムの開発、材料工学の4要素であるプロセス・構造・特性・性能を一気通貫で予測するためのモデリング技術の開発などを進め、材料科学者が抱える実際的な課題に対峙していく。先に見据えるのは、さまざまな材料データを統合した材料横断的なデータ科学の実現だ。NIMSが日本のデータ中核機関としての責務を全うするために、マテリアル基盤研究センターはデータ活用の基盤技術の確立に全力を注ぐ。

NIMS開発の機械学習モデルで見出した世界最高レベルの性能を誇る断熱薄膜材料(アモルファスSiとBiの複合材料)