Vol.24 No.4
インジェクタブルゲルCover Story

注射器のシリンジに充填するときは液体でも、体内では温度やpHに応答して固まる。そのように設計された医療用のゲルを「インジェクタブルゲル」と呼ぶ。
西口昭広は、ブタ腱由来のゼラチンにUPy基*を修飾した「UPy化ゼラチン」を用いて、インジェクタブルゲルの研究開発を進めてきた。開発材の1つに「医療用接着剤」がある(表紙写真)。この接着剤は、UPy基の数を調整し、体温(37℃)で固まるように設計してある。使い方は、少し温めて液体化したうえで、手術後の傷口に注入すればよい。傷口をしっかりと塞ぎつつ、周辺組織との癒着も防止できる。さらに、西口は研究の過程で、ゲル中にファイバー状の孔を形成する手法を発見。この孔に移植細胞を内包させて生体内へと運ぶ、再生医療用のインジェクタブルゲルの開発を進めている。
*UPy基…ウレイドピリミジノン基
(写真・塚田直寛)