世界最大級の鍛造試験機! 創意工夫で不可能な試験も可能に
本橋 功会Norie Motohashi
技術開発・共用部門 材料創製・評価プラットフォーム マクロ材料加工ユニット 主任エンジニア

「マクロ材料加工ユニット」は、材料の特性試験をはじめ、実験装置や部品の加工、ガラス理化学機器の設計・製作、試料作製などを通じて材料研究を支援しています。各種装置のなかでも独自性の高い装置が「1500トン鍛造シミュレータ」です。鍛造とは、金属材料に圧力をかけることにより、目的の形状に成形しつつ強度を高める加工方法のこと。鍛造する際の圧力、温度、冷却時間など、いわゆるプロセス条件によって金属組織は大きく変わり、機械的特性も変化します。それら相関の解明はきわめて重要な課題ですが、ラボレベルの小さな試験体では、製造現場で加工されるような、大型金属の内部で起きる現象を再現することが困難です。
1500トン鍛造シミュレータは、1000℃超の恒温熱間加工*が可能な世界最大級の鍛造試験機です。たとえば、900℃で800MPaの強度を持つ材料であれば、直径140mmまでの試験体に対し、鍛造を行うことができます。ひずみ速度や加熱温度、冷却方法や時間などを精緻にコントロールでき、材料の基礎研究だけでなく、製造現場で熟練の技術者が感覚を頼りに行っている金属加工の現象を科学的に解明し、技術を継承するうえでも役立ちます。
この装置は、油圧プレス機や加熱炉、冷却装置などを組み合わせてつくり上げた一点もので、使いこなせるのは、当ユニットのエンジニアだけです。私たちは、単にこの大型装置を操作するだけではなく、温度制御などに工夫を重ね、より高度な恒温鍛造試験を実現してきました。そうした功績が評価され、令和5年度文部科学大臣表彰の研究支援賞を受賞しています。
この装置では、金属を複雑な形状へと加工することも可能です。前例のない条件を研究者から希望された場合でも、私たちは装置に改良を施したり、専用の治具を考案したりして最善の方法を探ります。試験にあたっては、研究者と現場で議論を重ねながら条件を見直すなど、柔軟な対応を心がけています。
*恒温熱間加工…金属材料と、材料を成形するための金型を、一定の温度に保ちながら加工する方法。

1500トン鍛造シミュレータ
[利用形態]
- 技術代行…NIMSスタッフがユーザーの代わりに機器を操作、解析する。
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