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インターンシップ!
すべてはあの日々からはじまった―。NIMSでのインターンシップ経験をきっかけに、NIMS連携大学院への進学を決意した3名のスペシャル座談会をお届け。
インターンシップの思い出から、現在の学生生活、将来の夢まで存分に語ります。



[NIMS連携大学院生 座談会]
進学の決め手は NIMSでの研究体験

牧野 楓也Fuya Makino
筑波大学-NIMS連携大学院 桜庭研究室 博士課程1年
岩手大学4年次に研修生としてNIMSに滞在し、NIMS連携大学院の修士課程へ。研究テーマは磁性材料による熱制御。現在、JST事業であるERATO「内田磁性熱動体プロジェクト」の一員として奮闘中。
サビナ・サヒSabina Shahi
筑波大学-NIMS連携大学院 スレスタ研究室 博士課程2年
ネパール出身。トリバブン大学の修士課程在籍時、インターンシップ参加。研究テーマは多孔質ナノカーボン材料の開発。指導教員をして「どんな実験も再現できる“神の手”」と言わしめる腕利き。


スピッチャ・タラクンディットSupicha Trakuldit
早稲田大学-NIMS連携大学院 廣本研究室 博士課程3年
タイ出身。室蘭工業大学の修士課程在籍時、インターンシップ参加。修士号取得後、民間企業に1年半勤務した後、NIMS連携大学院へ。アルミニウム合金の防食コーティングを時間短縮する技術を開発中。
NIMSとの縁、それぞれのきっかけ
牧野:高校生のころ、授業で学んだ磁石がくっつくメカニズムに興味が湧いて、宝野和博先生(現・NIMS 理事長)の著書『すごい! 磁石』*1 を読んだのがNIMSを知ったきっかけです。偶然にも、進学した岩手大学の先生がNIMSの研究者と知り合いで、研修生*2としてNIMSに短期滞在するチャンスに恵まれました。憧れのNIMSとつながったことが奇跡のように思えて、修士課程からNIMSでの研究生活をスタートしました。
*1『すごい! 磁石』 宝野和博、本丸 諒 著/日本実業出版社 刊(2015年)
*2 研修生…「NIMSインターンシップ」以外にも、「連携大学院」や「NIMS連携拠点推進制度」の利用、大学などにおける教育活動の一環または技術習得などを目的として、研究業務に参画することができる。
サヒ:私はネパールの大学の先生が、現在の指導教員のスレスタ・ロック・クマール先生と共同研究をしていて、私をインターンに推薦してくださったんです。NIMSの研究設備のラインナップを見て「やりたい研究ができる!」とテンションが上がりましたね。
タラクンディット:私も、修士時代を過ごした室蘭工業大学の先生に「研究意欲の高いあなたにぴったりの環境がある」と勧められて「NIMSインターンシップ*3」を利用しました。修士号取得後、一度は就職して生産技術関連の仕事をしていましたが、日に日に研究したい気持ちが募って……。その思いを現在の指導教員である廣本祥子先生に相談し、進学を決意しました。
*3 NIMSインターンシップ…最大90日間、NIMSで研究活動を行うことができる制度。
研究への扉を開いたインターンシップ
サヒ:2022年の夏にインターンで初めてNIMSに来て、来日翌日の朝には研究室で試料をつくり、先生と一緒に走査電子顕微鏡(SEM)の前に座っていました。ほかにも操作方法を学びたい装置がいくらでもあって……。こんな環境で研究ができることがうれしくて、インターンの3カ月間、とにかく実験に没頭しました。

牧野:僕も同じでした。研修生としての日々は、自分が本当にやりたいことを見つけるために大事な期間でした。一口に「磁性材料研究」といっても、その研究内容はさまざまです。だからこそ、自分の興味や目指す方向性に合う場所を探すためにいろいろな研究室を見学させてもらい、最終的に桜庭裕弥先生の研究室を進学先に選びました。
タラクンディット:NIMSでは研究室同士の交流が盛んなので、そこからも視野が広がりますよね。私にとって収穫だったのは、廣本先生をはじめ、多くの女性研究者が活躍している姿を目の当たりにしたこと。私の国では、博士号を取って研究者になる女性はまだそれほど多くありません。NIMS に来たことで、「女性も博士号を取って研究者になっていいんだ」と意識が一変しました。それに、NIMS には私のような外国人が多いので居心地もよかったんです。

牧野:そうだったんですね。いろいろな国の人がいる環境は、日本人の僕にとっても魅力でした。研究では世界に目を向けることが重要ですが、留学は経済面でも生活面でもハードルが高いものです。NIMS なら日本にいながらにして世界中の研究者と交流でき、英語力も鍛えられるし、互いの文化を知ることで尊重し合えるようになる。だからこそ、研究だけでなくプライベートの交流も大切にしています。僕の研究室にはインド出身の研究者が多いのですが、彼らとカラオケに行ったら日本語の曲でも終始踊り続けていて、終わるころにはみな汗だくだったのはいい思い出です(笑)
好奇心で突き進め! 挑戦と成長の日々
タラクンディット:NIMSではいきなりプロの研究者の中で研究することになるので、大変なこともありますよね。たとえば、研究でミスをしても基本的に怒られることはないけれど、研究者として原因究明することを求められます。
牧野:博士課程になってから特にそれを感じますね。ただ、設定したテーマのもと自由に研究させてもらっているので、それも自分の責任だと思っています。僕は今、NIMSをはじめ複数の機関から研究者が集まる大型プロジェクトに参加していて、「この人たちに追いつきたい、いつかは追い越したい」という思いで食らいついています。

サヒ:私はとにかく実験が楽しくて、どれだけやっても足りないと感じるほどです(笑)。論文を書くよりも実験をする方が楽しかったのですが、スレスタ先生から「実験と論文執筆とのバランスを取るように」と助言を受けたおかげで、インターンシップ期間中の成果を有名なジャーナルで発表することができました。
タラクンディット:私は最終学年なので、研究してきたことを生かせる場所を求めて就職活動しています。自分で開発した防食コーティングを車に応用することが夢なんです。3年間を振り返ってみて、設備だけでなく、一緒に研究する人たちも熱心かつ丁寧に教えてくれるNIMS はすばらしい環境だったと改めて思っています。
サヒ:本当にそう感じます。NIMSではたくさんのことを学べますから、研究への好奇心があるなら、まずはインターンに参加してほしいですよね。研究者を目指す人にとって、これほどのマイルストーンはないと思います。
牧野:また、ぜひ年に一度のNIMS一般公開にも来ていただいて、この研究環境を見てもらいたいです。僕たち学生も直接お話しできますし、きっと刺激を得られるはずですから。
(文・池田 亜希子/写真・石川 典人)


インターンシップ受け入れ実績
NIMSインターンシップ制度は2006年より運用を開始し、これまでに国内外の大学および大学院、国内の高等専門学校から2000人以上もの学生を受け入れてきた。制度利用者の国籍は約60ヶ国にものぼる。左図は過去5年間の統計。
*その他: 韓国、イギリス、カナダ、タイ、チェコ、スペイン、トルコ、メキシコなど