いつだって“学びどき”

社会人学生に密着!

実は、NIMS連携大学院生のなかでも珍しくないのが、社会人学生の存在。
「仕事と学業の両立」というハードルのなか、どのように研究と向き合っているのでしょうか。
そして、その道を選んだからこそ見えてきたものとは―。

砂古口 藍子Aiko Sakoguchi

筑波大学-NIMS連携大学院 高橋研究室 博士課程2年 ウエスタンデジタルテクノロジーズ合同会社

コロナ禍での就職を経て一念発起。
仕事との両立で相乗効果を実感

砂古口 藍子Aiko Sakoguchi

筑波大学– NIMS 連携大学院 高橋研究室 博士課程2年 ウエスタンデジタルテクノロジーズ合同会社


私が修士号を取得したのは、ちょうどコロナ禍の時期でした。社会全体の先行きが不透明だったこともあり、企業でのキャリアを選択しました。入社して5年、現在はハードディスク(HDD)の次世代記録方式「熱アシスト磁気記録(HAMR、囲み参照)」において、ディスク材料と記録密度との関係を評価する業務を担当しています。

もともと、ウエスタンデジタルとNIMS には企業連携センター(NIMS-Western Digital ストレージフロンティアセンター)があり、NIMS が磁気記録分野で実用につながる重要な成果を上げていることは認識していました。興味を深めたきっかけは、学会でNIMS の研究者から、HAMR 研究における材料評価に「磁化ダイナミクス」を活用していると聞いたこと。磁化ダイナミクスは私が修士課程で取り組んでいたテーマで、それと現在の業務が関連していること、しかもその研究を率いている高橋有紀子先生のもとで博士号取得を目指せると知りました。

* 磁化ダイナミクス…物質中の磁化が歳差運動や減衰を伴いながら時間とともに変化する現象。

実はこのとき、磁気記録分野で世界をリードするアメリカの大学院から進学の誘いを受けていました。改めて、自分が本当に突き詰めたい研究テーマは何か、どのような環境に身を置きたいのか、自分の将来像と照らし合わせて熟考を重ねた末、やはりNIMSでしかできない研究があると感じ、高橋研究室の受験を決意しました。職場や住まいは湘南エリアと遠方ではありますが、やりがいのある仕事を辞めることなく通える距離であることも理由でした。上司に直談判し、NIMSとの企業連携センターの一員として進学が決まりました。

現在、出張扱いで週2回ほどNIMS に通っています。会社での業務も学業も研究活動なので、計画立案から実験、結果のまとめ、報告まで、すべての過程で深く考える必要があります。どちらもチーム型研究のため、片方に取り組んでいる間にもう片方が進展していく状況のなか、意見や判断を求められる場面も多く、頭の切り替えは簡単ではありません。試行錯誤の日々ですが、研究テーマには重なる部分も多く、同時に進めることによる相乗効果も実感しています。両立の道を選んだからこそ得られる学びを最大限に活かし、アカデミアと企業の架け橋として貢献したいと心から願っています。

時間分解磁気光学カー効果(TRMOKE)測定装置

筑波大学 数理物質科学研究群 国際マテリアルズイノベーション学位プログラム 教授 NIMS連携大学院
磁性・スピントロニクス材料研究センター センター長 / 磁気記録材料グループ グループリーダー