Vol.25 No. 4

マテリアルで加速する量子研究

もつれが未来を紡ぐ

量子力学が誕生してから、100 年が経った*1
そのような記念すべき年に、今日の「量子コンピュータ」につながる基礎技術を発見した3名の研究者*2へ、ノーベル物理学賞が贈られることが決定した。量子力学にもとづく物質のふるまい(量子現象)は、ほかにも「量子センサ」や「量子暗号通信」といった革新的な技術の構想をもたらし、
実現に向けた熾烈な研究開発競争が、世界中で繰り広げられている。

「量子マテリアル」は、量子現象を自在に操るための舞台である。制御すべきは、電子や光子わずか1個が織りなす極限の事象だ。
問題は、それをどうやって制御するか―。

量子マテリアルの研究開発では、結晶中のごくわずかな不純物や欠陥、素子の加工精度など、従来の技術では問題にならないような些細な要素も考慮しなければならない。さらに、最先端の観測技術によって新奇の量子物性が解き明かされつつあり、量子の世界は拡張しつづけている。

量子マテリアル研究はどこまできて、どこへ向かうのか。
NIMS の研究事例から、その軌跡と未来像を描き出す。

*1 1925年、ドイツの物理学者ヴェルナー・ハイゼンベルクによる「行列力学」の発表から100年。
*2 「電気回路におけるマクロなトンネル効果とエネルギー量子化の発見」により、2025年のノーベル物理学賞がジョン・クラーク氏、ミッシェル・デボレ氏、ジョン・マルティニス氏に贈られる。

「二層グラフェン/ hBNモアレ量子ドット素子」の電子が描く、量子の“蝶”
Research Highlights 02 参照)。

特別座談会「量子に挑み、量子を愉しむ」

まさに“究極”―研究者が語る量子研究のシビアさ、面白さ

Research Highlights NIMSの研究最前線

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